東京都CCUネットワークとは
元気であった働き盛りの人が急に死亡してしまう疾患の代表に急性心筋梗塞があり、欧米では Heart Attack(心臓発作)と呼ばれています。この急性心筋梗塞を中心とする急性心血管疾患に対し、迅速な救急搬送と専門施設への患者収容を目的に、1978年に東京都に組織された機構が東京都CCUネットワークです。
当ネットワークは、図に示すようにCCUを有する医療施設のみならず東京消防庁、東京都医師会ならびに東京都健康局(現 東京都福祉保健局)との共同の活動であり、東京都の特殊救急事業として位置付けられています。医療分野に留まらない組織作りは東京消防庁救急隊との密接な協力体制、開業医との緊密な連携、そして救急当番日の空床確保が重要です。
2~3年毎に組織再編成が行われ、東京都全域の心臓救急に携わる主要医療機関を包括してネットワークとして組織化された心臓疾患専門治療施設は2019年7月1日より計73施設に拡大しました。総計534床のCCU病床がその組織下にあり、東京都全体の夜間人口1300万人を、海抜0mから奥多摩の標高2000mに届く山岳地帯までヘリコプター搬送を含む計236救急隊がカバーし、全救急車に救急救命士が配置されています。
CCUネットワークシステムの目的
できる限り速やかに一人でも多くの心疾患患者を発症場所から専門施設に収容し、早期に専門的治療を行える地域の組織化にあります。これにより、救急隊の搬送先選定が迅速となり、搬送時間が短縮し、心肺停止を来しやすい発症初期の危険な時間帯にCCUへ収容できるようになります。
さらに、CCU施設と開業医、一般病院との病診・病病連携の改善から患者搬送におけるDelayの短縮が図れ、東京においても医院経由の搬送例では、平均収容時間の短縮が示されました。
CCUネットワーク構築の利点は、専門施設への患者搬送収容の迅速化、急性期の適切な治療の普及、地域救急医療システムの連携強化、患者家族・医療従事者への教育活動の推進などが挙げられます。